お母様が進めた結婚式。
タイ出身の花嫁と国際結婚。
避ける新郎、戸惑う新婦。
それでも結婚式は迫る。
どうにか辿り着いた結婚式の新郎の感想は。
ホテル担当者から任された 新郎のお母様の依頼
「新郎のお母様と会って、お話をお伺いして欲しい」
こんな依頼はレアケース、懇意にしてるホテルスタッフからのお願いでした。
親族のみの食事会とチャペルでの結婚式をご依頼とのこと。
現時点での要望を一通り聞いた上でお母様と連絡を取りました。
よくよく伺うと、お母様がお一人で結婚式を決めた様子。
お母様が結婚式、披露宴(食事会)を強く希望をしていたのがわかりました。
しかし、肝心の新郎はやる気もないどころか、お母様が勝手に話を進めているのを怒っており、当初から難航する雰囲気でした。
私は新郎を説得するため、一度お話の機会をいただきました。
新郎新婦とご対面
初めましての際、おふたりは非常に緊張して、笑顔が全くありませんでした。
最初に新郎はお母様から届いた手紙を私に渡してくれました。
その中身とは
・私のこと
・何がなんでも結婚式を千葉の地元であげること
・披露宴などの式次第の要望
・私と電話で打ち合わせをした内容
などが綴られていました。
元より新郎は怒っているのではなく、新婦をみんなの前で晒し者にしたくない
ただそれだけの理由でやりたくないと、お母様には何度も話をしたそうです。
出会いは新郎の行きつけのタイ料理のレストラン、そこのスタッフだった新婦
詮索されたくない気持ちの強さと、まだ日本語や日本に馴染んでいない新婦に気を使っていたのです。
しかし、私と話をしたことがきっかけで、前向きに進めてくださるようになりました。
その後、新郎新婦は千葉の会場まで足を運んでいただき、衣装やお料理打ち合わせも進めていきました。
結婚式当日
挙式はホテル内のチャペルにて、新郎親族と近隣の親しい方、総勢20名程度が参加しての結婚式。
挙式を終えて新郎が私に一言。
「今日は、座っているだけ、食事だけしますので、よろしく」
まだまだやる気はないけど、お母様の手前、なんとか今日を無事に過ごしますからという、新郎の想いでした。
特に演出を考えたのではなく、ここは顔合わせの時間にしようと
新郎新婦が入場し、乾杯後、ケーキ入刀、お色直し前にゲスト全員の自己紹介タイムを作りました。
その際のひと言。
「タイとはこの太平洋で繋がっていると思うと、胸が熱くなります。太平洋を眺めながら、新婦のお国に想いを馳せたいと思っています。新郎くんと結婚してくれてありがとうございます」
「この太平洋を眺めていると、地球は一つなのだなと感じます」
新郎のご家族と長きに渡り親しくお付き合いのある男性の、お二人へのお祝いの言葉でした。
この言葉が新郎の心を動かしたのでしょうか。
中座から帰られた新郎が
ゲストのところへ挨拶まわりとビール注ぎをしたいと、照れくさそうに伝えてきました。
ようやく主役が前向きに変わったと心の中でガッツポーズをしました。
それからは想像以上に和やかになったのは、言うまでもありません。
お開き後に、お母様からたくさんの感謝のお気持ちを伝えていただきました。
そして、新郎が「今日、やってよかったです」ポツリと一言。
新婦が私へ満面の笑顔を返してくれたのが印象的でした。